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◆骨董コラム◆能登・加賀の匠の技:石川県が誇る伝統工芸の魅力

石川県の伝統工芸品をご紹介します♪

石川県は、江戸時代の加賀藩主・前田家による文化振興策をルーツに、現代まで続く華やかな工芸文化を育んできました。その結果、石川県は全国有数の伝統工芸品の宝庫となり、現在では36業種もの伝統的工芸品が、百万石の歴史と職人の進化を今に伝えています。

ここでは、石川県が誇る主な伝統工芸品を、「国指定」と「県指定」に分けてご紹介します。


国指定伝統的工芸品:技術の最高峰に宿る百万石の粋

工芸品名特徴と魅力主な技法・様式
輪島塗用と美を兼ね備えた堅牢な漆器。輪島特産の**「地の粉(じのこ)」を用いた本堅地技法**により、使い込むほどに美しさを増します。地の粉を漆に混ぜて塗る本堅地技法、木地の傷みやすい上縁に生漆を塗る「地縁引き」。
山中漆器豪華な茶道具、特に**棗(なつめ)**の制作に定評があります。漉櫨(ろくろ)を使った独特の挽物技術、木地の肌に極細の筋を入れる加飾挽き
加賀友禅武家風の落ち着いた気品を持つ着物。自然をモチーフにした写実的な表現が特徴です。燕脂、藍、黄土、草、古代紫などの**「加賀五彩」**を基調とする色彩。
九谷焼さまざまな色を用いた**色絵装飾(上絵付)**が魅力の陶磁器。多様な様式があり、それぞれ異なる魅力を持っています。古九谷風(素朴・豪快)、木米風(全面赤塗り)、庄三風(彩色金欄手)など。
金沢箔国内生産の98%以上を占めます。10円硬貨大の金を畳1枚の広さにまで均一に広げる職人技が光ります。金の輝きを失わせることなく1万分の4ミリ以下の厚さに引き延ばす製箔技術。
金沢仏壇上品な蒔絵の美しさが特徴で、「蒔絵仏壇」とも呼ばれます。耐久性を重視した木地、木肌を活かした彫刻、加賀彫りの金具、金箔を多用した豪華な加飾。
七尾仏壇主に能登の農家向けに受注生産されてきた堅牢な作りが特徴です。運搬に便利な**解体できる「柄組み」**技法、何層式にも折られる大型の扉。
金沢漆器量産ではなく一品物の美術工芸品としての趣が強い調度品や茶道具が作られます。堅牢な塗りと、高度で繊細な加飾の**「加賀蒔絵」**(高蒔絵、肉合研出蒔絵など)。
牛首紬「釘抜紬」と呼ばれるほどの丈夫さが特徴です。絹糸は太くて節があり、素朴な美しさがあります。2匹の蚕が入っている**「玉繭」**から直接糸を引き出して製糸。
加賀繍(ぬ い)豪華で繊細な表現が魅力。模様が表裏とも同じであるため補修が容易です。肉入れ刺繍ボカシなど立体感のある技法、金糸・銀糸を多用した気品ある装飾。

石川県指定伝統的工芸品:地域に根付いた多様な技

工芸品名特徴と歴史
和紙金沢市の二俣は献上紙漉き場として藩の庇護を受けていました。加賀奉書杉原紙などの高級公用紙が漉かれていた歴史があります。
美川仏壇漆を何層にも塗り固めたものに型を用いて立体的な紋様を施す**「堆黒(ついこく)」**の技術が特徴です。
桐工芸蒔絵加飾が特徴。耐湿・耐火性に優れたの特性を活かし、木目の美しさに華麗な蒔絵を施した工芸品です。
檜細工軽くて通気性が良く丈夫なを使用。かつては山仕事や農作業用のとして発展し、現在は素朴な民芸品として親しまれています。
珠洲焼長らく途絶えていたものが昭和51年に復活。須恵器の系統を継ぎ、粕薬を使わず、穴窯で焼き締める技法を用います。

伝統を守り、未来を創る石川の工芸文化

石川県の伝統工芸品は、長い歴史と熟練した職人たちの技術の結晶です。加賀藩の文化政策にルーツを持つこれらの工芸品は、現代でも高い評価を受け、私たちの生活や特別な場面を彩っています。

職人たちは、伝統的な技法を大切に守りながらも、現代のライフスタイルやニーズに合わせた新しいデザインや製品への試みも積極的に行っています。伝統と革新が共存する石川県の工芸文化は、これからも日本の文化的な宝として大切に継承されていくでしょう。

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