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安政丁銀とは? 江戸幕府最後の丁銀の歴史と特徴

安政丁銀とは? 江戸幕府最後の丁銀の歴史と特徴

安政丁銀は、幕末の混乱期に登場した、江戸幕府が鋳造した最後の丁銀です。

開国による経済の危機を救うために発行された歴史的な貨幣であり、別名を「政字丁銀」ともいいます。


安政丁銀が誕生した時代背景:開国と銀の流出

安政丁銀が誕生したのは、安政6年(1859年)です。この時期の日本は、嘉永6年(1853年)の黒船来航をきっかけに開国し、外国との交易が始まりました。

貨幣交換レートの失敗と銀の海外流出

開国後、日本と外国の貨幣を交換する際、大きな問題が発生しました。

日本は「一分銀1枚=1ドル銀貨」の交換比率を希望しましたが、アメリカ側は「貨幣に含有される銀の量」を重視。日本の一分銀は、1ドル銀貨に比べて銀の量が少なかったため、アメリカの主張する「一分銀3枚=1ドル銀貨」という、日本にとって不利なレートが採用されてしまいました。

この結果、外国商人はわずかなドル銀貨で大量の銀と交換できることになり、日本から大量の銀が海外へ流出するという深刻な事態が起こりました。

銀の流出を防ぐための「低品位化」

この危機を解決するために、幕府は貨幣の品質を落とす(低品位化)という手段に出ます。

**銀の含有率を下げて鋳造されたのが、この安政丁銀です。**これにより、日本の銀の流出に歯止めをかけようとしました。

安政丁銀以降、地方貨幣を除いて、重さを量って使う秤量貨幣(ひょうりょうかへい)は鋳造されなくなり、安政丁銀が「江戸幕府最後の丁銀」となりました。

安政丁銀の図柄・形状:特徴的な「政」の極印

形状

安政丁銀は、他の丁銀と同じくナマコ形と呼ばれる細長い銀色の棒状をしています。

極印(きょくいん)

表面には、品質を保証する「常是」や「常是、寳」といった極印、大黒像、そして時代を示す時代印が刻まれています。

  • 時代印の「政」の字:

    • 小判では「」の字が打たれた安政小判がありますが、丁銀の場合は「宝永正字丁銀(ほうえいせいじちょうぎん)」と混同するのを避けるため、「」の字が採用されました。この「政」の字から「政字丁銀」とも呼ばれます。

  • 十二面大黒丁銀:

    • 上納や祝儀用として、12面の大黒像が打たれた非常に希少価値の高い丁銀も存在し、これは「十二面大黒丁銀」と呼ばれます。


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