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◆骨董コラム◆茶道具に秘められた歴史と役割

茶道具の歴史や道具の種類など

茶道は、日本の美意識と精神性が凝縮された伝統文化です。その茶道の世界を支えているのが茶道具であり、単なる用具ではなく、それぞれが深い歴史と役割を持っています。

この記事では、茶道具がたどってきた歴史と、主要な道具の種類、そしてその用途について解説します。


茶道具の歴史:権力の象徴から侘び寂びの芸術へ

茶道具の歴史は、平安時代末期臨済宗の開祖・栄西が、中国から抹茶の作法とともに伝えたことに始まります。

当初、茶は貴族や僧侶の間で限定的に楽しまれていましたが、時代とともに武士や町人にも広がり、大きな発展を遂げます。

  • 戦国時代: 茶道具は権力の象徴として価値が高まりました。織田信長豊臣秀吉といった大名たちが名品を収集し、論功行賞として茶道具を与えるなど、政治的な道具としても重視されました。
  • 安土桃山時代: 千利休が登場し、質素で洗練された**「侘び茶(わびちゃ)」**の精神を確立。これに伴い、**和物(わもの)**と呼ばれる日本独自の茶道具が発展し、現在に繋がる茶道の文化が確立されました。

主要な茶道具の種類と用途:茶会の流れを支える道具たち

茶会は、一つひとつの道具が決められた役割を果たすことで成り立っています。主要な茶道具の名前と用途を知ることで、茶道の世界をより深く楽しめます。

道具名用途・役割豆知識・素材
茶碗(ちゃわん)抹茶を点(た)てて飲み、手でその温かさや形を味わうための器。季節や流派によって形、素材、デザインが異なります。
棗(なつめ)薄茶用の抹茶を入れておく小さな容器。ナツメの実に形が似ていることから名付けられました。
茶杓(ちゃしゃく)棗から抹茶をすくい取るための細長い匙(さじ)。一般的に竹製で、亭主(茶を点てる人)の個性が表れます。
茶筅(ちゃせん)抹茶とお湯を混ぜて、きめ細かく泡立てるための道具。竹製。穂の細かさによって濃茶用・薄茶用など用途が異なります。
水指(みずさし)お茶を点てる際に使用する水を入れておく器。陶器、金属、ガラスなど、様々な素材があります。
柄杓(ひしゃく)釜や水指から、水やお湯をすくうための竹製の杓季節によって、節の位置など形が変わります。
釜・茶釜(ちゃがま)お湯を沸かすための鉄製の釜。茶室の(畳の中)や風炉(畳の上)にかけて使われます。
建水(けんすい)茶碗や茶筅を清めた際に、その使い終わった湯(湯水)を捨てるための器。
袱紗(ふくさ)茶道具を清めたり、熱い釜の蓋を開け閉めする際に用いられる絹の布色やたたみ方に厳格な作法があります。
香合(こうごう)お香を入れる小さな容器。茶席の雰囲気を整えるための装飾的な役割も果たします。
掛け軸(かけじく)茶室の床の間に飾る書や絵。季節や茶会の趣向に合わせて、亭主が選びます。
懐紙(かいし)お菓子をのせたり、口元を拭ったりするための和紙茶会に参加する際の必需品の一つです。

茶道具は、長い歴史の中で洗練され、一つひとつに意味と作法が込められています。

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